「なんで泣くんだよー?」


目の前でおろおろしてるはずの千尋さんが見えない。

苦しいんだよ。
好きになりすぎたんだよ。

お願いだから、これ以上すきにさせないで…

僕、何しちゃうか分かんないよ…?


「泣くなよー?どーしたんだよー?」

千尋さんは自分の服の袖で、僕の涙を拭いてくれた。


「…ってぇ…だって…」

千尋さんは小さい子をあやすように僕を抱きしめてくれた。

もう人気の無い夜景スポット。
夜景、見に来たのに、全然見えないや。


「ちーちゃんの事すきなの!ちーちゃんに負けないくらいちーちゃんの事すきなのに…思った事は言うって、約束したのに…伝え方が分かんないよ。好きすぎて苦しいよ…ちーちゃん、どうすれば伝わる?僕はこんなに、すきなんだよ」


思ってる事もぐちゃぐちゃで、言いたい事も整理出来てないままの言葉。
思ったまま伝えて、千尋さんに伝わる?


「約束守れなくてごめんなさい。…恥ずかしくて言えなかった事もあるの…照れくさくて言えなかった事もあるの…本当はちーちゃんに伝えたかったの…」


千尋さんは僕の背中をさすりながら、うんうんと聞いてくれた。