千尋さんは手をとめて、僕の方を見た。
え?という番は僕だったらしい。
「千尋さんって言うの辞めない?付き合ってるんだから。呼び方かんがえてよ?」
千尋さん……?
んーっと…
「ちーちゃん。」
え?は、今度は千尋さんの番。
「ちーちゃんにする!ちーちゃんも何か僕の呼び方考えて!」
千尋さんは顔を真っ赤にして「ゆーき、で。」と言った。
そのままだったのは気に食わなかったけど、千尋さんが照れて料理を再開してしまったから、許してあげる事にした。
ちーちゃん、かぁ…
なんか照れるかも…
早炊き設定にしたご飯は炊けて、千尋さんはメインディッシュのチャーハンを炒め始めた。
僕は千尋さんが切った野菜をお皿に盛りつけた。
ご飯はやっと完成して、向かい合って食べた。
ご飯を食べるのは久しぶりで、胃が縮んでしまったのか、あまり食べられなかったけどすごくおいしかった。
「ちーちゃんは天才だね!すごくおいしかった。」
って僕が言ったら、千尋さんは嬉しそうだった。
「ゆーきは、会った頃より明るくなったね。本当のゆーきだ。」
千尋さんはこの僕が、本当の僕だって言ってくれた。