千尋さんは、親父にも会いたかったと言ってたけど。
今日の親父だったら、会ってもらいたい、って思う。
親父が千尋さんにどう接するのか分からないけど。
きっと大丈夫だと思う。
全部、百合子さんのおかげ。
これからお世話になる、新しい家に着いて千尋さんはスーツから部屋着に着替えた。
「夕飯の買い物でも行こうか。」
千尋さんは荷物を整理してた僕に言って、僕は喜んで着いていった。
近くのスーパーで手をつないで買い物をする。
スーパーに来るのは初めて。
「僕、スーパー初めて来た…」
え?!と千尋さんは驚いていた。
普通、小さい頃から母さんと来るものなんだろうけど。
僕は母さんと、入学式ぐらいしか一緒に出かけた事が無い。
「優貴ちゃん、何か食べたいものある?好きな食べ物は?」
こんな事、普通は付き合う前に知る事かも知れないけど、嬉しい。
千尋さんは、僕の事を知りたがってくれてる。
「んー…なんでもいい。千尋さんの好きなもので。」
千尋さんは困ったように笑った。
結局千尋さんはその日、チャーハンを作ってくれると言った。
チャーハンの材料とスープの材料を買って、食材を袋に入れる。
百合子さんは、毎日スーパーに行ってるのかな…
こんな当たり前な事が、新鮮で嬉しい。