百合子さんは、僕が口を開くのを黙って待っている。


「あの、」

僕は期待にこたえて口を開いた。


昨日の事、彼氏ができた事。
病院に行ってきた事。

親父の雰囲気が変わってた事。
それを話すと百合子さんは口を開いた。


「私が言ったの。年頃の娘が2日も連続で家に帰ってこないなんて、彼でもできたんじゃないか、って。たまには、優貴ちゃんのしたいようにさせてみたらどうか、って。」



それは、すごく有難かった。

おかげで、千尋さんと一緒に住む事が出来る。
百合子さんのおかげだ。


「で?その彼、どんな人なの?」

「えへ?いや、あの…」


僕は初めて千尋さんの事を人に話した。

やっぱり千尋さんの事を考えると顔が緩んでしまって、うまく話せてるか分からなかったけど。百合子さんは楽しそうに聞いてくれた。

百合子さんはいつでも、僕の味方で居てくれる、そう思った。



いつだってそうだったから。

百合子さんはいつでも、僕の事を考えてくれていた。

気にかけてくれてたのは、いつも百合子さんだ…


でもこれからは、百合子さんだけじゃない。

千尋さんも居る。


僕には千尋さんが要るから…大丈夫。