やっと2時間経って、親父が戻ってきた。

「一回帰って荷物もってけよ。」


親父は、僕を追い出せてせいせいしてるのかな?

そうだったら、少し寂しいなぁ…
なんか複雑…

「…うん。あとコレ。」


僕は昨日からポケットに入りっぱなしだったシワのついたお金を渡した。
あぁ、と受け取る親父。


「もう、頻繁にお金は渡せない。でもちゃんとバイトして、月に1回振り込むから…」


「あぁ、分かった。後コレ持ってけ。ちゃんとやれよ」

親父が持たせてくれたのは、傷薬。
たぶん、顔に塗れって事だと思う。


うん、やっぱり優しい…

それに、初めて僕の意見を聞いてくれた。
いや、初めて僕は親父に思ってる事を言ったのかもしれない。

何を言っても聞いてくれないと思ってた。

でも、違うんだね…


何もしなくちゃ、何も変わらない…

それを教えてくれたのも、千尋さん。





僕はそのまま病院を出て、家に向かう。

電車の中で、千尋さんにメールした。