本当は、こんな事しなくてもいいんだ。
「愛してるよ」
その言葉を母さんの口から聞きたかった。
母さんの望むものを僕が与えてあげれば、母さんは僕を愛してくれる。
そう思いたかった。
母さんは僕が母さんの為に働いてる事すら気に入らない。
前に一度だけ、母さんから連絡が入った事があった。
電話口の母さんの声は変わらなくて、安心した。
僕の事を気にしてくれている、と思った。
僕は少し躊躇しながらも、今している事を話した。
母さんは
「汚い事してるのね。お父さんと一緒だわ。もう私を母さんだと思わないでよね。あんたは要らない子なんだから。」
頭が真っ白になった。
僕がやり始めた事は、無駄だった。
そう思った。
でも、一度親父に約束した事は変わらなくて。
母さんは親父のカードを使い続けたから、僕は身体を売るしかなくなった。
愛される、という希望を失った僕は、ただ何も思わないようにして生きてきた。
人に愛される、なんて叶わない夢だった。
実の母さんにすら、汚いって思われた僕なんか、誰も愛してくれない。
だから僕は自分で僕を愛した。