「くるじい~…」
この状況に耐えられなくて、僕は千尋さんの腕の中でもがいた。
「……………………」
長い沈黙。
気のせいかもしれないけど、千尋さんの残念そうな溜息が聞こえた気がした…
「…っ!ごめん!!」
千尋さんがやっと僕から離れた。
「ごめんね…?」
「だいじょうぶ。」
ドキドキした、なんて言えないし…
僕は、とりあえず帰らなきゃいけない事を話した。
帰らないで、って言われた時は焦ったけど、僕も帰りたくなかったけど、「…帰らなくちゃ。」って言ったら千尋さんが哀しい顔をしたから…
胸が痛くなった。
まあ千尋さんも明日は仕事だし、今日は解散って事になった。
「また、連絡してもいい?」
家まで送ってもらって、車を降りる時に手を掴まれて言われた。
少し強引な行動を取った千尋さんに、びっくりしたけど嫌じゃなかった。
もちろん。
僕だって、千尋さんに会いたいんだ。