「ほんとに楽しかった。ありがとう」

僕はこんな人に出会えて、面倒を見てもらって、本当に良かったと思う。


今日はツイてない、なんて思った事が恥ずかしくて、撤回したかった。



「俺、君に名前で呼んでもらって、嬉しかった。おやすみ」




最後のおやすみ、は照れ隠しだと思う。
向かい合って抱きしめてくれてるから、僕の頭は千尋さんの首までしか届いてないから分かんないけど、きっと顔が赤くなってるんだろうなぁ…

だって千尋さんの心臓、すごく早いもん。



ドキドキしてる。




でもそれは、僕も同じ。




千尋さんに、ばれてないかな…?

千尋さん、すごく良い匂いがする…
どこの香水かな…?




僕はゆっくり目を閉じて、いつの間にか眠ってしまった。