彼氏じゃなかった。
なんだ、そっか。

勘違いか!

こんな嬉しい勘違いは、久しぶりだった。

自分の間抜けぶりに対してか、彼が彼女の恋人じゃなかったという嬉しい事実に対してか、わからないけど笑いが止まらない。

こんなことなら、もっと早く聞いておけばよかった。
僕が抱えていた不安を思い出し、それがまた可笑しくて笑う。


笑うだけ笑った後、彼女は口を開いた。


「…ねぇ、さっきのってもしかして…告白?」


…瞬間的に、笑いが止まった。

同時に、僕の全神経も止まる。

思考回路の隅っこで、さっきの僕の言葉がリプレイされた。


『俺は明日可が好きで』


…俺もしかして、どさくさに紛れて…

言っちゃった?


気付いた途端に、顔が紅潮する。

やべぇ、俺言っちゃったんだ!
勢いに任せて告白してしまったのだ。

焦るのにまとまらない思考回路の中、僕は必死に訂正しようとした。

「あ、そのっ、えと、あ…」
「あたしも好き」




…へ?