「…へ?」


またもや間抜けな返答をしてしまった。

僕は彼女の前で何度も間抜けな顔をしているが、今の顔が確実に一番間抜けだと思う。

「だから、あの雨の日に迎えに来てたのはあたしのお兄ちゃん!」
「で…でも、一年の時もよく迎えに来てた年上の彼氏って…」
「そんな人いないってば!迎えに来るのは、いつもお兄ちゃんだもん」


…お兄ちゃん?

俺は、お兄ちゃん相手に戦おうとしてたのか?

風船の空気が抜けていく様に、身体中の力が抜けていった。

「な…なんだ…。俺、てっきり、年上の彼氏だと…年上好きなんだと…」
「何それ」

フッと、彼女がいつもの仕草で笑う。

「は…はは」

僕もまた、力の抜けた笑いが口をつく。


「あはははっ」


僕の間抜けな空回りに、二人してもう笑うしかなかった。