三学期が始まるまでは転校に必要な書類を書いた以外には普段と変わらなかった。

パソコンを開き、インターネットに接続する。

大して面白くもないブログをななめ読みした後にメールをチェックする。

前の学校の友達からの定型文じみたメールを読み、すぐさまゴミ箱に送る。

通販サイトからのダイレクトメールは読みもしなかった。

ゴミ箱を空にして、電源を切る。

視界がぼやける、パソコンをするといつもこうだ。

でも、今回はいつもと違った。

ずっと視界が歪んだまま、文字もまともに見えない。

「・・・・・・。」

目を擦ってみる。

視界ニ変化ナシ、これは面倒な事になった。

親に伝えると、病院に連れて行かれた。

視力の検査を受けて、視力が下がっていることが分かった。

突然目が悪くなるなんて、本当に面倒だ。

「鼎はどれがいい?」

眼鏡店で母親が話しかけてくる。

「自分で選ぶよ、余計なことしなくていいから。」

母親を睨みつける、そうしないと顔もまともに見えやしない。

結局深い緑色の縁をした眼鏡を買った。

少々値段は高かったけれども、正直自分は気に入っている。

レンズを入れてもらい、眼鏡をかける。

視界が元に戻る、これで一安心。

これで私も眼鏡属性とやらを手に入れたわけだ。

家に帰るともう夕方になっていた。

明日から学校だ、本当に面倒くさい。

またあんな人の多い所にほぼ毎日通わなければならないのか。

私はなるべく大きく、深いため息をついた後、夕飯を食べるために台所に向かった。

電気を消して真っ暗になった私の部屋には、水色のブレザーが一人ぼっちでハンガーに吊るされていた。