「まあ、今のところ問題もなく一年を過ごしているし、お前たちなら大丈夫だろう」
「はい、大丈夫です」
誠人の言葉に唯織が頷いた。
ブスッとしている悠稀も当然だというように言い返す。
「俺等を誰だと思ってるんだ。
天才的アイドル、CLOWNの二人だぞ」
「確かにな。その時の二人は俺でも気付かないから」
悠稀の偉そうな啖呵に誠人が笑って頷いた。
最後の秘密―――
二人は大人気のアイドル、CLOWNだった。
CLOWNのメンバーは二人だけ。
そして正体が全て隠されていて、性別すらも明かされていない。
デビューするときに公表されたのは、CLOWNというチーム名と二人の芸名だけだった。
銀髪に藍の瞳を持つのがユイ、金髪に翠の瞳を持つのがユウ
芸名からユイが女でユウが男と言われることが多くあるが、二人とも中世的な顔立ちで衣装によって雰囲気も変わるので、確信を持てる人はいなかった。
そんな謎に包まれたCLOWNの人気は凄い。
謎に惹かれる人も多くいるが、特に人を魅了するのは二人の雰囲気と全てを完璧にこなす天才的な才能。
最初は歌手としてデビューした二人はモデル・俳優・声優など、関わった仕事全てにおいて成功した。
それが増々人気を高め、今では世界的アイドルになっていた。
そんなCLOWNの二人が唯織と悠稀だった。
唯織がユイで悠稀がユウ、二人の名前の漢字から作った芸名。
二人は早瀬財閥が経営する事務所に所属して、テレビに出演しながら学校へ通い、家の仕事も手伝っていた。