「…仕事が終わらないわ」
「頑張って下さい、悠稀」
生徒会室にある、2つのデスク。普段は片づいているそこは、書類やファイルが積み重なっていた。
嘆きながらも、二人は正確に仕事をこなしていく。
「会長、このステージの設計費用ですが………」
「ああ、それなら確か……ありました。
確認して手配してありますから、これを業者の方に渡して下さい」
「ありがとうございます!!」
「副会長、来賓の方への招待状はどうすれば………」
「はい、これに過去の物も調べて書いてみましたわ。
よかったら参考にして下さい」
「分かりました!!」
普段は関係者しか入れず鍵が掛かっている生徒会室も、多くの生徒が忙しく出入りしている。
5月中旬にある行事
私立双葉学園高等部体育祭
どの学校にもある年間行事の1つであるそれは、双葉学園でも盛大に開かれる。
この学園の生徒は将来は人の上に立ち、指揮をする者が多い。
その練習として、体育祭や文化祭では業者の人を呼び、生徒の指揮の下、準備が行われる。
当日は見にこられる人たちに、生徒が自分の能力を見せつける最大の機会。
高等部全体が張り切っている。
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