「あのオッサンの会社は早瀬の下だったよな?」
事務所に戻り、衣装ルームに入った二人は長岩の話をした。
「そうよ、明日にはあの人居ないだろうけど」
車の中でした電話を思い出しながら、唯織はクスクス笑う。
そんな様子を、ウィッグを取りながら悠稀は眺めた。
気に入らない奴には容赦ないよなあ…。
…まあ、俺も同じか。
「ほら、唯織。ウィッグ取ってやるから動くな」
「ありがとう」
二人がちょうど着替え終わった頃、ノックがされた。
「…二人とも、ちょっといいかしら?」
聞こえてきたのは薫の低い声。
来たっ!!
悠稀と唯織は見合わせた顔を歪ませながら、衣装ルームを出た。
そして薫と、唯織のやったことに気付いて駆け付けた愛華に、たっぷり説教をされてしまった。
数日後、長岩がセクハラで捕まった事件がニュースに流れ、芸能界ではある噂が広まった。
《消えたくなければCLOWNを怒らすな》
そして長岩の後任としてあの香水を作った人が選ばれ、ブランド・TWINSはさらに売り上げを伸ばした。