「なにをっ!!」
「有能なのは会社員であって貴方ではないのですよ、長岩社長?」
「貴様、失脚したいのか!?」
「貴方ごときが俺を陥れることが出来るわけないでしょう」
「なっなっ、…何を!?」
ユイの乱暴な言葉にスタッフが息を飲む中、ユウの笑い声が聞こえた。
「クスクスッ…ユイ、行きましょうよ」
その言葉にユイは頷いた。
「そうですね、馬鹿の相手は疲れますから」
ユイとユウはすでに長岩など存在しないかの様に振る舞い、スタッフの人たちに礼をした。
「俺達は失礼します」
「迷惑をかけてすみません。あと…」
スタジオを見渡したユウはカメラマンを見つけると微笑んだ。
「助けようとして下さってありがとう。
私は大丈夫ですから、貴方も失脚なんてしませんわ」
そう告げて天使の微笑みを残してユウはスタジオから出た。
残ったユイは長岩の耳元で、
「……明日も社長で居られるといいですね」
そう告げてスタッフにもう一度礼をしてスタジオを出た。
「お疲れ様」
「本当に、面倒な事に巻き込まれましたね」
「……国見に怒られるわね」
「……それは嫌ですね。薫は仕事の鬼だから」
怒る薫の姿を想像して二人で笑いながら、事務所の車に乗り込んだ。