ページをまたいでいる間に、ゾックは元に戻った。

モヒカンは変わっていなかったが、その顔は美女になり、胸も爆乳と言えるほどに膨らんでいた。



「えええぇぇぇ!? ゾックって、女だったのか!?」



 ハデアールが全力で走っていって、ゾックに抱きついた。

《ハッハッハッハ、ボボボボクは女たらしなのでアール》



「自慢げに言うな!」



《ハッハッハッハ、それにゾックが全身タイツなのも、女だからなのでアール》



「服装にそんな意味が!?」



 なんだか呆気ないラストに、カピカピは少し、物足りなさを感じた。

「これで全部元通り……か」



《ハッハッハッハ、ではまたお面ライダーに変身して、チョコ配りでアール》



「もうやめとけよ!!」



 もうこれ以上、余計なことをする必要はない、と思い直し、カピカピはなぜかまだ拡声器を手に持っているユシャを振り返る。



「帰ろうか、ユシャ」



【無理です。無理なのです。帰り方がわからないのです】



「……あ」



『ウワアアアァァァ!!!』ゾックがわざわざ拡声器を使って叫んだ。



「今度はなんだ!?」



《またいつかこの場所にこようねと約束したら、ハデアールが怪物になった★ピェー》



「もう知らねえよ!!」

カピカピのむなしい叫びが、荒野に響いた。

いつになったら『黄身のための物語』と、同時上映の『白身を見捨てないで』を観に行けるんだよ、とカピカピは思った。



おわり