《ハッハッハッハ、去年のお面ライダーは人妻だったのでアール》



「急にどうした」



《ハッハッハッハ、去年のお面ライダーは、結婚指輪を握って、“元に戻りたい”と叫んだ瞬間、元の姿に戻れたのでアール》



 カピカピはハデアールの言葉を聞いて、仮説を立てる。

「……大切なもの……か?」



《ハッハッハッハ、そうだと思うのでアール。大事なものを持って叫べば、元に戻れると思うのでアール》



「大切なもの……」

カピカピは自分にとってなにが大切なのかを考える。



《ハッハッハッハ、髪の毛でアールか?》



「俺はハゲてねえよ!!」



 その会話に、お面ライダーがすかさずつっこむ。

【巨乳です。巨乳なのです。どうせ巨乳なのです】



「だとしたら、この場に巨乳がいないから、元に戻れないな」



《ハッハッハッハ、それが問題なのでアール。

仮説が当たってたとしても、大事なものが何かわからなければ、あるいは手に入らなければ意味がないのでアール》



 カピカピは、お面ライダーが都合よく持っていたチョコレートを指差した。

「……ユシャ、そのチョコ、俺にくれないか?」