「……元から怪物だったんじゃねえの?」



『そんなわけがないだろう! 獣のような耳も、異様に長い下マツゲも、異音を発する上唇も、全部おまじないの代償だ!』



「……モヒカンは?」



『モヒカンはモヒカンだ』



「変わってねえのかよ!!」



 ゾックはおまじないのことに、話を戻す。

『……この荒野は、私がハデアールと2回目のデートで、きた場所だ』



「デート?」



『私の“何もない場所に行きたい”という言葉に、ハデアールは答えてくれた。そしてそのとき、“またいつかこの場所で会おう”と約束した』

カピカピはそのときのことを思い出し、下を向く。

『それが、初めてのおまじないだった』