「違う」


『ショックー』が何なのかを尋ねた新たな同士に、ゾックは否定から入った。


「良いか、まず両腕を目一杯頭の上に伸ばして、両手を合わせる。これが『ショッ』だ」


「…………」


「そして両肘を真横に突き出すようにして、両手を耳の横に持ってくる。これが『クー』だ。これを素早くやる」


「…………」


「サァ、ご一緒にー! 『ショックー』」


「やんねえよ!! テメェ、さっきはそんなんやってなかったじゃねえか!!」


「足も同じように広げるのが通のやり方だ」


「テメェ以外誰がやるんだよ!!」


「悲しそうにやるのがコツだ」


「うるせえええ!!」


「ゲヴォア★ピェー」


 ゾックの左頬に、新たな同士の右ストレートがクリティカルヒットした。


「そんなんどうだっていいんだよ!! 『ショックー』が何なのか、さっさと説明しろ!!」


「…………」


 ゾックは無言で新たな同士をじっと見つめる。


「な、なんだよ」


「…………」


「し、しつけえな、やりゃいいんだろ、やりゃあ!!」


 新たな同士が恥ずかしがりながら、ゾックと同じポーズをとった。


「し、『ショックー』」


「…………」


 ゾックは特に反応せず、無言で、落ちたピエールくんスペシャルを拾った。


「…………」


「…………」


『我々ショックーは……』


「すかすんじゃねえよ!!」


「アァ、ピエールくんスペシャル!」


 またしても蹴り飛ばされたピエールくんスペシャルを、ゾックは慌てて拾いなおした。


『我々ショックーは、お面ライダーに対抗するため、私が作った地獄の軍団だ』


「お面ライダー!?」


『お面ライダーの特徴は、顔にハート型のお面をかぶっていることだ』


「いや、そこはどうでもいい」


『ちょうど一年前、昨年のバレンタインに起きた事件を覚えているか、新たな同士よ』


「え、なんかあったか?」