お面ライダーは、ショックー側を向いて、登場演説を始めた。


【ゆっしゃっしゃっしゃっしゃ】


「なんだその笑い方」


【よくきたな、ゾック・ピエールと愉快な仲間たちよ】


「誰が愉快な仲間だ。つーか、むしろきたのはオマエらじゃないのかよ」


【ご名答。私がそのお面ライダーだ】


「誰も答えてないけど」


【世のモテない男たちのため、私は戦いをやめるわけにいかない】


「正直、勝手に戦ってて欲しいんだけど」


【ショックー、私は正義のヒーローとして、貴様らを必ずミンチにしてやる!】


「それヒーローが言うセリフじゃねえよ」


【貴様らの挑戦、受けて……】


 そこでお面ライダーの声が止まった。


【受けて……えっと……受けて……】


《………………》


『………………』


「………………」


 お面ライダーはお面の中に隠しておいた台本を読んだ。


【社長サン、大変です。だめなのです。間違えたのです】


「フィリピンパブか」


《ハッハッハッハ、うん、おしかったでアールね。でも素晴らしかったでアールよ》


「過保護か」


《どうでアールか? 台本を読みながら、もう一度やり直してみるでアールか?》


「受けて立つの“立つ”が言えなかっただけじゃねえか!! もう全部聞いちゃったよ!!」


【社長サン、嬉しいです。やるのです。がんばるのです】


「おいおい、やめてくれよ!! 二回聞いたって何にもならないって!!」


【ゆっしゃっしゃっしゃっしゃ】


「ホントにやんのかよ!!」