カピカピとゾックから15メートルほど離れたところに、氷の入った透明なバスタブがあって、さらにそこから15メートルほど離れたところに声の主はいた。


 金色の白衣に、金色の巨大なアフロが目立つ男だ。

金色の四角いメガネをかけ、すべて金色の歯を見せ付けている。

そして、金色の拡声器を使って話していた。


《ハーッハッハッハッハ……ハーッハッハッハッハッハッハッ……ゲホッゲホゲホ》


「あれはまさか……」


『アア、間違いないな』


 ゾックが神妙に頷く。


『あれは初代ピエールくんだ』


「…………拡声器の話!?」


《ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ……ハハーッハッハッハッハッハ》


「どんだけ笑うんだよ!!」


《ハーッハッハッハッハッハッハ……ハァハッハッハハァ……誰か……ハハッ止めて……》


「そんな面白いことあった!?」


《ハァハァ……あれ? 止まった……3日振りに笑いが止まったのでアール! ハーッハッハッハ》


「三日も笑い続けて……って結局また笑ってんじゃねえか!!」


《ハーッハッハッハ、久しぶりでアールなァ、ゾック・ピエール》


 全身金のド派手な男は、ゾックに向かってウインクした。


《昨日はメールありがとでアール》


「メル友だったの!?」


『気にするな、ハデアール』


「なんだその名前!!」


『ところで、ハデアールからのメールの最後にあった、×××ってどういう意味だ?』


「それキスマークー!! なんでハデアール、キスマーク送ってんの!? なにこの二人の関係!?」


《ハッハッハ……なんでアールと!? わからないなら、なぜ×××と返してきたのでアールか!》


「返してんのかい!!」


『そ、それは……』