『我が軍団へようこそ、新たな同士よ』
声の持ち主は切り立った崖の上に立っていた。
だが、その崖の高さは30センチしかない。
荒野に響き渡る大きな声は、拡声器によるものだ。
「フフフ、また一歩、“答え”へと近づいた」
人とは言えないような姿をした“彼”は、口元から拡声器を離した。
『アァ、ゾックゾクする★ピェー』
新たな同士には聞こえないようにという配慮だったのだが、あまりにも声が大きかったため、普通に拡声器に声が入ってしまった。
彼は高所恐怖症で、足が震えているのをごまかすために、足元に落ちていたハート型の貝殻を蹴飛ばした。
『私が我が軍団の首領、ゾック・ピエールだ』
ゾックは体こそ人間と同じ形で白いタイツを着ているが、頭にかぶった白い覆面は明らかに特注だ。
輪郭は見事な台形。頭の頂点には穴が開き、モヒカンが飛び出している。
耳の部分からは、うさぎのような、あるいはきつねのような耳が突き出ている。
目の部分に開いた穴ではその全容がつかめないほど長い下まつげ。下くちびるを覆い隠すほど巨大な上唇。
腰には「ちゃんぴょん」と書かれたお手製のチャンピオンベルトを巻いている。
『さあ、それでは始めよう』
ゾックが嬉しそうに両手を上げた。
『……新人さん、大歓迎会!!!』
パフパフ! 左手に持った、なんかパフパフ音がするあれを盛大に鳴らして、ゾックが歓迎の意を示した。
『む、これは……』
ぽつーん。今さらながらゾックの目に入ってきたのは、たったひとりだけの新たな同士だった。
黒い覆面をかぶり、上半身は裸、下半身は黒タイツという出で立ちだ。
『なるほど、この広い荒野にひとりぼっちか』
広い荒野でさみしく立ち、ぼーっとゾックを見つめている。
『いや、私もいるからふたりぼっち。アァ、ゾックゾクする★ピェー』
一応拡声器は口元から離していたのだが、声が大きすぎるので、何の意味もない。
『新たな同士よ、名乗りたまえ』
「………………」
声の持ち主は切り立った崖の上に立っていた。
だが、その崖の高さは30センチしかない。
荒野に響き渡る大きな声は、拡声器によるものだ。
「フフフ、また一歩、“答え”へと近づいた」
人とは言えないような姿をした“彼”は、口元から拡声器を離した。
『アァ、ゾックゾクする★ピェー』
新たな同士には聞こえないようにという配慮だったのだが、あまりにも声が大きかったため、普通に拡声器に声が入ってしまった。
彼は高所恐怖症で、足が震えているのをごまかすために、足元に落ちていたハート型の貝殻を蹴飛ばした。
『私が我が軍団の首領、ゾック・ピエールだ』
ゾックは体こそ人間と同じ形で白いタイツを着ているが、頭にかぶった白い覆面は明らかに特注だ。
輪郭は見事な台形。頭の頂点には穴が開き、モヒカンが飛び出している。
耳の部分からは、うさぎのような、あるいはきつねのような耳が突き出ている。
目の部分に開いた穴ではその全容がつかめないほど長い下まつげ。下くちびるを覆い隠すほど巨大な上唇。
腰には「ちゃんぴょん」と書かれたお手製のチャンピオンベルトを巻いている。
『さあ、それでは始めよう』
ゾックが嬉しそうに両手を上げた。
『……新人さん、大歓迎会!!!』
パフパフ! 左手に持った、なんかパフパフ音がするあれを盛大に鳴らして、ゾックが歓迎の意を示した。
『む、これは……』
ぽつーん。今さらながらゾックの目に入ってきたのは、たったひとりだけの新たな同士だった。
黒い覆面をかぶり、上半身は裸、下半身は黒タイツという出で立ちだ。
『なるほど、この広い荒野にひとりぼっちか』
広い荒野でさみしく立ち、ぼーっとゾックを見つめている。
『いや、私もいるからふたりぼっち。アァ、ゾックゾクする★ピェー』
一応拡声器は口元から離していたのだが、声が大きすぎるので、何の意味もない。
『新たな同士よ、名乗りたまえ』
「………………」