「いよいよ年に一度の猫祭り!五穀豊穣と無病息災を願って、ハレルヤ!」
「ハレルヤ!ハレルヤ!」
アルプスの山々に陽気な神楽と人々のハレルヤがこだました。
(これぞ猫の本懐じゃあ!)
(喜んでもらえてうれしいよ)

 楽しい夢を見て眠っている猫を、狐のかげが優しく包み込み寒さを和らげていた。
(猫くん、俺は君のことがずいぶん好きだよ。だから風邪なんかひかないでおくれね)
狐の思いを知ってか知らずか、猫は夢の中でお神輿によるアルプス越えの真っ最中だった。