「なあ、この試合、勝ち負けナシってことにしねえか」
「なに!?」
「だから、引き分けってことでお互いおさめようや」
「へえ、案外オトナなんだな」
「くくく・・・またな、ボウヤ」
ウサギは茂みの中へ飛び込み走り去った。
残された猫は舌打ちし、ウサギの消えた茂みをいつまでも睨んでいた。
(アヒルの前に倒さねばならん相手に出会ったようだな)
猫は手段のために目的を見失うことがしばしばあったのだった。