困り果てた先生は、教室中を見渡している。
きっと、空いている席でも探しているんだろう。


先生も大変だなぁって、完全に他人ごと。

空いてる席なんて、このクラスになんてないよ。
そう思って教室の風景を改めて思い出してみる。


あ、まって、そういえば…


あたしは隣の席に目をやる。

そういえば、あたしの隣の席、空いてたんだった…



すごく嫌な予感がした。
ゆっくりと先生の方へ目線をやる。
すると先生はあたしのほうを見て、ニコッって微笑んだ。


「立川、小野の隣が空いてるから。そこに座ってもらえるか?」


・・・嫌な予感、的中。


そう先生が言った瞬間、クラス中の女子たちから痛い視線が突き刺さった。



こ、怖い…っ!

周りからの視線を振り切るように、首をぶんぶん振った。
それでも後ろからの威圧感は、とてつもなく大きく、怖いものだった。