すると今度は前の扉が開き、先生が入ってきた。

あたしたちの担任は優しくて有名な、人気の先生。


その先生が騒いでいる女子たちを見て、笑いながらも小さくため息をついた。


「おーい、女子たち。
うるさいぞ、静かにしろー」


先生の声も届いてないのか、騒いでる女子たちは一向に静かにならない。


あたしは耳をふさぎながら、騒いでいる女子たちを見渡す。
あたしを除くクラスの女子全員が後ろの生徒に釘付けだ。


先生は、女子たちに声をかけるのをあきらめたのか、今度はその男子に向かって大きな声で問いかけた。



「立川、席わかるか?」


その問いに彼は“いいえ”と言って首を左右に振った。


彼の声を聞いた女子たちが、さらに騒ぎ出す。