あたしは“当たり前じゃん”とでも言うように、サラッと言い放った。





その言葉に、
美紀は首をかしげて、少しだけ考え込んだ。





だけど、次の瞬間。

美紀の声が教室中に響き渡った。








「え、待って。嘘でしょ!?
普通イケメンに出会ったら、初めに聞くのは名前!
そして身長、彼女いるかでしょ!!
こんなの当たり前の知識じゃないっ」







耳元で出された大きな声に、あたしは精一杯耳を塞ぐ。


それでも鮮明に聞こえてくる声に
あたしは何回も頷きながら「ごめん、ごめん」を繰り返した。








当たり前の知識って・・・

そんなこと考えてるの、美紀だけだと思うんだけど・・・




それを決定付けるのが、クラス中からの視線。

みんなが、“何言ってんの?”って目でこっちを見ていたから。