是人の言葉に、緑は手を叩いて騒ぎ立てた。



「おぉ~!待ってました~!」



その後ろで朝日は息を呑んで是人を見つめた。


是人・・・あんなに怯えてるのに・・・。


前髪の下に何があるのかは知らないけど・・・。


でも、そこに是人にとって見られたくないものがあるのはなんとなくわかる。


朝日は是人に向かって叫んだ。



「是人!ダメだよ!そんなやつの言うこと聞かないでよ!」



是人は朝日に目を向ける。


「斉藤さん・・・」



すると緑が朝日の方を振り返って見下ろしながら言った。



「朝日ちんうるさい」



ガッ!



「うっ・・・!」




朝日は腹部に走った衝撃に呻いた。
緑が横たわる朝日の腹を蹴ったのだ。



「斉藤さんっ!」



「あーあ。可哀想な朝日ちん。是人くんが悪いんだよ~?さっさと言う通りにしないから」



「僕は言う通りにするって言ったじゃないですか!」



「はいはい。じゃ、さっさとして?」



「・・・」



緑の言葉に是人は前髪に手をかけた。


朝日は腹の鈍痛で声が出せない。痛みに耐えながら薄目を開けて是人を見つめる。



是人・・・ダメだよ・・・。



「ほら!一気にいこーぜ!」



緑が是人を急かす。


是人は震える手で前髪をギュッと握りしめ、そのまま上に持ち上げようと力を込めた。



朝日は心の中で叫んだ。



ダメ・・・!!!!