「!?」


朝日は驚いて目を見開いた。


いきなり緑がさっきまで自分が腰かけていた椅子を蹴り飛ばしたのだ。
椅子は壁の方まで飛んで近くにあった金属製のラックにぶつかって派手な音を立てた。



「朝日ちんさぁ、もうちょっと自分の立場ってのを理解した方がいいんじゃない?」



かろうじて聞こえるほどの小さな声で緑が言う。

口元は相変わらず笑みを湛えていたが、嬉しくて笑っているのでないことは朝日にもわかった。


ヤバいかも・・・。

本気でキレさせたみたい・・・。



朝日はひしひしと伝わってくるただならぬ空気を察知した。


焦る朝日の目の前に、緑は笑顔でしゃがみこんだ。



「あんまり調子に乗らないでほしーなぁ」



緑は静かに言うと朝日の髪に触れた。

そのまま朝日の髪の間に指を滑り込ませると、力を込めて鷲掴みにした。



「痛い!」