「ビンゴだわ」



朝日は仁王立ちになって目の前の小さな建物を見据えた。

建物の入り口はガラス戸になっており、色褪せたポスターがたくさん貼ってある。
その向こうに、決して綺麗とは言えないごちゃごちゃした店内が垣間見えた。



そのガラス戸の上に文字の消えかかった看板がある。



『鶴見屋』



「つるみや・・・」



朝日は看板を読み上げた。聞いたことのない店だ。


(まあ、場所が場所だし、小さいし、それに・・・)

朝日はガラス越しに店内を覗く。
所狭しに山積みにされているのは、プラモデルの箱や漫画だった。
さらに店内に配置された棚のあちこちに女の子の人形やロボットが飾ってある。


(オタクが来そうな店だしね・・・)


朝日は、今日のことがなければ一生関わることがなかった店だと感じた。

そして、ガラスの向こうの店内を見つめながら、目当ての人物を探す。



絶対いるはず。


アイツが言ってた用事って、絶対この店に寄ることだよ。



朝日は根拠はないが確信していた。



そして・・・。