朝日の中で、昨日の放課後の出来事がフラッシュバックする。
――『ウチらの方がムカついてるんだよねー』――
――『私達の気が済むまで殴られなさいよ』――
朝日は顔中の筋肉が強張るのを感じた。
びくびくしていても仕方ないとなんでもない顔をして登校してきたものの、実際に佐奈達の姿を目の前にすると足がすくむ。
朝日は咄嗟に廊下の床板に視線を落とし、佐奈と目を合わせないようにした。
「・・・」
佐奈はチラッと朝日に目を向けてきたが、何も言わずに去っていった。
残りの二人も同様に無言で佐奈の後を付いていく。
佐奈が離れるとともに緊張感から解放され、朝日は心底ホッとした。
「朝日ちゃん?どうしたの?」
一端足を止めた朝日に気づいて、眞子も立ち止まった。
なにも知らない眞子は朝日の動揺に気づいていない。
「ううん・・・!なんでもない」
眞子ちゃんには心配かけたくない・・・。
朝日は無理やり笑顔を作ってみせると、小走りで眞子の隣に追いついた・・・。