「いらっしゃいませこんばんはー」



コンビニの自動ドアをくぐる朝日を、店員の明るい声が迎えてくれた。

ざっと店内を見渡す。

朝日の他に客は一人だけだった。グレーのスウェット姿の細身の男で、雑誌コーナーで立ち読みしている。

まあ、時間が時間だし、やっぱりそんなにお客さんいないよね、と朝日は納得する。

特に何を買うわけでもなく入店したため、とりあえず先客の隣で雑誌を手に取った。



「・・・ん?」



ちょっと待って。
何か見たことあるような・・・。

朝日はそっと隣の客の方に視線をやった。



「・・・あ」



朝日が漏らした声に気がつき、隣の客が顔をむける。


客の身長は朝日と同じくらいで、女子のように華奢な体つきをしていた。

頭はあちこち寝癖が付いてボサボサで、前髪はダラリと長く目にかかっている。
髪の隙間からギョロリと覗く男の瞳が、朝日の姿をとらえた。


「あ・・・」


男は朝日につられたように同じ呟きを漏らす。