クスクス。


またあの笑い声がした。


朝日は痛みをこらえながらなんとか体をひねって上半身を起こした。


すぐ後ろに三人の女子生徒が立っていた。

三人とも、見たことがある。

朝日と同じクラスの生徒だった。


多分、背中の痛みはこの中の一人に蹴られたのだろう。


「アンタ達が私のローファー隠したの?」


朝日の言葉に、三人は顔を見合わせると、きゃらきゃらと笑い声を上げた。


「な・・・なにがおかしいのよ!?」


朝日は三人に向かって怒鳴った。


イライラしていた。


なんでこんなことするの?

気にくわないことがあるんなら直接言ってくればいいのに。


朝日の思いが伝わったのか、三人の中の一人――原田佐奈が口を開いた。


「なに?うちらにムカついてんのォ?」


佐奈の言葉に残りの二人が笑い出す。


悪意を含んだ甲高い声は、朝日にとって最高に耳障りだった。


「でもさぁ、うちらの方がよっぽどムカついてるんだよねぇー。斎藤さんにぃー」


「そうそうー」


「まじウザいよねぇー」


三人が口々に言う。


しかし、浴びせられる悪口に怯むことなく、朝日は言い返した。


「なに?ムカついてることがあるんならハッキリ言えばいいじゃん!私にどうして欲しいわけ?!」


「・・・・」


三人は黙り込んだ。

そしてお互いに顔を見合わせ、目配せする。


すると、佐奈がゆっくり朝日に近づいてきた。


「な・・・なに―――」


バシッ!!


朝日が言い終わらない内に佐奈の平手が振り下ろされた。



「った・・・!」