その日の放課後。


「・・・あれ?」


帰宅しようとして靴箱を開けると、ローファーが見当たらない。

靴箱の蓋を開いたまま、一瞬思考が停止した。



・・・なんで?


蓋を閉めて番号を確認する。


間違いない。

私の靴箱だ。

朝学校に歩いて来たんだから家に忘れてくるなんてことはあり得ない。

足元を見ると上履きのままだ。

もう一度靴箱の中を見たが、やはりローファーは無くなっている。

どう考えてもおかしい。


まさか・・・。


朝日は最悪の想像をして玄関に立ち尽くした。


その間にも何人もの生徒達が靴を履いて下校していく。


朝日は悩んだ。

とりあえず今自分はどうするべきか。

ずっとここにいるわけにもいかない。

このまま上履きで帰ろうか。
でもそうしたらローファーが・・・。


クスクス。


「!?」


笑い声・・!?


キョロキョロと周りを見渡すと、廊下の向こうに三人の女子生徒が走り去っていくのが見えた。


あの子達・・・!


朝日は追いかけようとして走り出した。

・・・と。


ドンッ!!!


「きゃっ!」


「うわっ!」


朝日は何かに思い切りぶつかった。

その衝撃で跳ね返されて尻餅をつく。


「いったぁー・・・」


打ち付けた臀部を擦りながら、たった今ぶつかった何かに目をやる。