僕がちんたらピアスをはめていたら、しゃかしゃかお姉ちゃんは洗面所を出ていった。
「由太、遅刻よ」
去り際に一言、お姉ちゃんは扉で見えなくなった。
「や、ヤバい!」
やっとはまったピアスに、髪型も鏡で軽く確認して洗面所を僕も出る。
よし!
今日もコレでオタクには見えない!
鞄と朝食のパンを引ったくるようにして僕は家を出た。
学校に着いたのは結構早めで。
またお姉ちゃんが僕を騙したんだろう。
携帯を確認しない僕も悪いんだろうけど。
下駄箱を開けると出てくる手紙にも少し、うんざりする。
朝からドッと疲れた。
下駄箱にある、大きな全身鏡に映る僕。
誰がどうみてもオタクだなんて疑われない姿。
薄茶の髪をワックスでふんわりねじり、制服は着崩す。
ネクタイは下の方で結び、あげくに腰パン。
最後に左耳に光るピアス。
正直、ここまでするのは凄くダルい。