「結愛、頑張って!」
「う…うん」
コツコツコツッ…
静かな校舎にあたしの
足音だけが響く。
あたし、
杉本 結愛(スギモト ユア)
には好きな人がいる。
その人はあたしより1つ
先輩で。
明日はその先パィの卒業式。
「結愛、先輩に手紙書いたら?」
友達のその一言で
生まれて初めてラブレターを書いた。
『3−A』
教室に入ると座席表で
先輩の名前を探す。
大崎 大翔(オオサキ ヒロト)
「あった!」
窓際の1番後ろの席。
先輩の机にそっと触れてから
椅子をずらして
手紙を机の中に入れた。
全ては、
ここから始まったんだ。
あれから約一年。
なんだかんだであたしも
卒業式して
先輩と同じ 東高校 に入学する。
手紙を渡してから
返事なんか聞いてない。
なのに高校まで追い掛けてるなんて
ホント馬鹿みたい。
そう思うけど
きっとあたしは心のどこかで期待してるんだと思う。
「結愛!うちら同じクラスだよおっ」
中学の時からの親友、
中原 莉乃(ナカハラ リノ)
がニコニコ笑って言ってきた。
「ま…まぢで?!」
莉乃と同じクラスなんて!
まぢ嬉しい!
「でもさでもさ!
うちらが同じクラスになれるなんて
馬鹿高校てのが滲み出てるよね!」
まあ確かに
あたしたちは沢山悪さも
してきたのに
同じクラスなんて…
投げやりな学校だなあ…
「あ…!結愛!アレっ」
莉乃が指差した先には
「大崎先輩…」
一年ぶりに見る、
大好きな先輩。
でもその横には
「大翔っ!早く行こう」
可愛い女の人がいたんだ。