警察に捜索願を出したと言っていたのでダンに聞けば消息も掴めるかもしれない。
そうこうしていると救急隊員が到着して修道女の処置をし出した。
右京はそれを見届けると静かに部屋を後にした。
忍は大丈夫だろうか…
あの修道女が忍じゃなくて良かったと考える自分が居る。
もしも忍だったらこんなに冷静でいれる自信がない。
『つーか、俺ひでーな…』
ニックが言ってた様に忍さえ無事ならいいと思ってるのかもしれない。
だからと言って無下にしている訳ではないのだが、天使としては失格だ。
まぁ堕天使だからな、俺…
ポリポリと頭を掻きながら聖堂を後にした右京は早く忍の元に帰ろうと思った。
彼女の前では天使とか人間とか関係なく、一人の男として必要とされてると実感出来る。
太陽が西に傾きもう辺りはだいぶ暗くなりかけていた。
右京は自然と足が早くなり、気付いた時には駆け出していた。
アパートに着く寸前で空気が微かに淀み始めた。
…なんだ…?
嫌な予感が的中したと判ったのはその僅か数分後だった。