隣に居た司祭は『なんて事だ!』と驚きの声を漏らした。
というのも彼女のふくらはぎには何かに噛まれた傷があり、それが酷く変色してる。
『恐らく蛇の毒です!早く救急車を!』
司祭は右京の言葉にハッとして慌てて廊下を駆けて行った。
『可哀想に…もう少しの辛抱だから…!』
右京の声が聞こえたのか、彼女はうっすら目を開けた。
苦しそうな彼女の髪を撫でてやると僅かに表情が和らいだ。
修道女が瞳を閉じたのを確認してから部屋を見回す。
蛇は…コカトリスはどうやってここに入り込んだ?
一応聖堂であるここは一種の聖域に似たようなものだ。
そう安々とコカトリスが入り込めるなんておかしい…
コカトリスは使い魔だ。
自らの意思でやったとは考えにくい。
裏でそれを操っている者がいるはず…
ベットに寝ていた修道女が小さく呻き声を上げた。
右京はそれを見ていてふと床に目を落とした。
ベットと床の間に隙間があるのに気付いた。
膝を着いてベットの下を覗いてみた。
床に浮かび上がる魔法陣を見て小さく舌打ちをする。
『こんな所に…!』
後ろで司祭がバタバタと走って来る足音が聞こえた。