『なるほど。“顔のない騎士”が天使か…

興味深いね。』


右京とニックの話を一通り聞き終えたアランは大して動じた様子もなくそう言葉を発した。


『もしその仮説が正しいとしたら、その“天使”は誰なんだい?』

『死を司る天使は何人かいるらしいが…

その中で考えるとすれば“アズラエル”かな…』


ニックは先ほど手にしていた本を開いてアランに手渡した。


『…片手に生者の名を記した書物か…』

『…違うと思うよ?』


そうきっぱり言う虎太郎に一同は視線向けた。


『何故?』

『アズラエル様はちゃんと頭があるからさ。

しかもよく喋る方でね…。

それより俺はサリエル様じゃないかと…』

『“サリエル”…!?』

『サリエルってあのサリエル!?』

『俺もサリエルだと思う。』


そう言ったのは右京だった。


『理由は2つ。
ひとつはアイツなら空を裂く事も、首を狩る事も可能だ。いつも大鎌を振り回してる。

もうひとつは無闇に人間を襲わない。むしろ手を下したくないと思ってるだろうな。

…あ、ちなみに俺を堕天執行したのもサリエルだよ。』


サラッと言う右京に虎太郎意外のみんなが目を見開いた。


『…どうした?』

『どうしたって…大丈夫なのか!?
自分を堕天したやつとやり合うんだぞ!?』

『…誰が?』

『クロウだろ!?』

『はぁ!?冗談はよしてくれ!やり合う気はない。』


そう言う右京に虎太郎はやれやれと小さく呟いた。