ニックの言葉に右京も一瞬目を見開いて『…天使?』と呟いた。


…“天使”…ああ、そういう事か…


『なるほど…それなら全てが合点する。』

『ちょっ…ちょっと待て!天使ってそんな残酷な事するのか!?』


訳の分からないロイは両手を振りながら右京とニックの顔を交互に見た。


『居るんだよ、そういう天使が。』


右京がそう言うとロイは口を開けたまま言葉を失った。


その場をゆっくり立ち上がったニックは本棚から一冊の本を取り出した。


『本来“天使”は天の使い…つまり神の使いだ。

天使は“人間の行いを監視”している。

だがある一部の天使には“天使の行いを監視”する者が居るって話だ。』

『俺が知っている天使にも何人か居る。

実際会った事があるのはひとりだけだが…』


ニックは手にした本のページを捲る手を止めた。


『会ったのかい!?』

『ああ。俺を堕天した天使だがな。』


なんでもないと言うようにそう語る右京にロイは『マジかよ…』と力無く零した。


『ちなみにその天使は誰なんだい!?』

『それは…』


興奮気味のニックに右京がそう言いかけた時、監視モニターにアランと虎太郎が映った。


『それは後で話すよ。』


右京は細い目を更に細めて微笑んだ。