裏庭の木陰に座り込んで星を見上げながら歌う美少女…


どこか寂しげな歌声に右京は少し考えてそのまま声をかけずにきびかえした。


『…ったく世話がやける…』


ブツブツと悪態をつきながら虎太郎に携帯でメールを打つと、今日中にレポートを終わらそうと考えながら自分の部屋の扉を開けるのだった。






リサは寂しい恋の歌を歌い終えると溜め息をついた。


…次は何を歌おうかな…


思い浮かぶのは切ない片思いの歌だった。


まるで自分の気持ちを表してるみたい…


見上げた夜空の星座を数えながら切ない想いを歌い上げた。


ふと誰かが隣に立っているのに気付いた。


『…続けて…もっと聞きたい。』


静かに腰を下ろした虎太郎にリサは微笑んでまた歌い始めた。


『…寂しい歌だね…』

『ん…。きっとこの歌を作った人は切ない恋をしたのね…』

『でもリサの歌、好きだよ。』

『一応これでもセイレーンですから!』

『そういえば、そうだった。』


クスクスと笑うと虎太郎の肩にコツンと頭を乗せた。

虎太郎は黙って彼女の肩を抱き寄せて頭に軽くキスを落とした。


『…綺麗でしょ…星が…

好きなんだぁ~夜空見るのって…』

『そう?寂しそうに見えたけど。』

『…寂しくなんか…ないわよ…』


強がってそう言うと虎太郎は『ふーん』と言いながらニヤリと笑った。