『“ウイッカ”で検索すると莫大な数でヒットしちゃうから、地域で絞り込んわ。』
イギリスだけでおよそ50程、更にそれをここから20キロ圏内まで絞り込むとその数は6件だった。
『あとは人数で多すぎるもの、少なすぎるもの、あと最近活動してないものを消去。』
スクリーンには3つのウィンドウが表示された。
顎髭を撫でながらニックが一つのウィンドウを指差した。
『このコミュニティーサイト、若者たちに人気だよな…』
『そうね…あんまり評判は良くないけど…』
アランは低く唸りながら眼鏡を人差し指で押し上げた。
『ロイ…このサイトにログインしてるメンバーを分析出来るか?』
『時間をくれればいけると思う。』
その返事にアランは満足そうに笑みを浮かべた。
本部のメンバーが忙しく作業を開始する中、特攻の2人はアランに待機を言い渡された。
『なんなら帰宅しても構わないよ。』
『そうだな…帰るか…』
気になるがここにいても自分に出来る事は無さそうだ。
虎太郎はロイの作業を少し手伝うというので、右京は先に寮に戻る事にした。
寮のポーチをくぐった時ふと足を止めた。
…誰かいる…?
微かに聴こえたのは歌声だった。
透き通るその声は見なくても誰かすぐに分かった。