ウイッカの儀式を阻止した後、しばらくは何事もなく数日が過ぎた。


ダンの話ではシモンズは心理分析医の指示の元、厳重な監視下にあるらしい。


気になったのは犠牲となったグリーンという男の話だ。


ダンが担当刑事から聞いた話によると、彼はあの時あるビジョンを見たらしい。


黒い空が割れ、蹄の音と共に顔のない騎士が現れる…


それを聞いたダンは“顔ない騎士”の正体が何なのか理解した。


『無いのは顔じゃなくて頭がないんだ。

恐らく“デュラハン”だろう…』


それはあまりにも有名過ぎる都市伝説だった。


日本でもデュラハンが元になった首なしライダーの都市伝説があるくらいだ。


『本当に居ると思うか?』

『“セイレーン”が居るくらいだ。

“デュラハン”が居てもおかしくないさ。』


右京はニックにそう答えた。


だが、デュラハンとシモンズがどう繋がるのかがわからなかった。


シモンズは一体何をしようとしているのか…


アランの指示でダンがシモンズの周辺を洗い直し、右京と虎太郎は交代でシモンズを見張る事になった。


大学ではレポートの提出を間近に控え、学生達は追い込み作業に追われていた。