「…事情があって、そのケータイはその人との連絡用にしか使ってないの。

友達と電話やメールがしたければ、別に買えって言われてるし。

だから、自由に使えるケータイは私にはない。」

「ふーん、そういう事か。疑って悪かったよ。じゃあ、好きでも何でもないんだ。」

「う…うん。」

好きか嫌いかと聞かれたら、好きと答えるけれど、これって恋愛感情なんだろうか…。

何か違う気がする。

好きならもっとドキドキしたりするんじゃないの?

一緒にいて安心はするんだけど…。

「じゃあ…俺は?こういう事するとドキドキしたりする?」

そう言って、私の隣に座ると手を握ってきた。

え?

「俺は小さい頃の君のこの写真を見て、ずっと想像してた。

どんな女の子になったんだろう、きっと綺麗な子になってんだろうな…て。

高校に入学して、君の姿を見つけた時は、夢じゃないかと思ったよ。

でも、あの時の明るさは身を潜めてしまって、雰囲気が全く違ってたから、別人かも…と思う時もあったんだ。

二年生になって、同じクラスで名前を知って確信したよ。