一方、聖良はチャイムと同時に教室に着いた。冬なのに額には汗が滲み、息は切れて、マラソンでもしてきたのかと思う程、ぐったりと席に着いた。
よ…よかったあ。何とか間に合った。ちゃんと誠との約束は守った。
何回か深呼吸をして息を落ち着かせた時、前の席から小さく折り畳んだ紙が回ってきた。
表には『聖良へ』と書いてある。
〈昼休みに体育館裏へ来て〉
誰からなのか、名前は書いてなかった。教室の中を見渡してみたけど、皆前を向いていてわからない。
行くべきか…行かざるべきか…。
名前も書かずにコソコソと手紙なんか回してきて。もっと正々堂々としろってのよ。
ビリビリと手紙を破り捨てた。