そこまで言うと、ケータイをポケットにしまったのか、ガサガサした音の後、ホームに流れるアナウンスが聞こえた。

布団に潜って、カタカタ震える手でケータイを握り締めた。

耳に当てると微かに誠の声がきこえる。

『うー、ここは吹きっさらしで寒いなあ。どうせ布団に潜って、暖かいとこにいんだろ。羨ましいこって。……。』

ブツブツ言ってる。ふふ…わざと聞こえるように言ってるんだ。



その時、一際大きく扉を蹴飛ばす音がして、いきなり現実に引き戻された気分になった。

「くそ!いるんだろ聖良!!ここ開けろ!!」

ドアノブをガチャガチャとする音がした。大声で怒鳴るその声に、隣の人が出た。

「煩いぞ!隣、留守なんじゃねーのか!?静かにしろ!!」