カタカタカタと震えが止まらない。誠は何も言わず、自転車に荷物を乗せると頭をポンポンとして、背中を擦ってくれた。
「さ、帰ろ。寒くなってきた。後ろの荷物、落ちないように支えとけよ。」
黙って頷くと、ゆっくり自転車を押し始めた。
家に着いてもさっきの事は、何にも触れて来ない。気になって、
「ねえ…、さっきの男の事…、聞かないの?」
と聞いてみた。
「……。」
「……。」
「…お前がケリ着ける事なんじゃないの?俺が介入しても拗れるだけだろ。ちゃんと話し合ってケリ着けろ。それでも駄目だったら…。」
「駄目だったら?」
「…そん時は一緒に考えてやる。」
「…うん!」
誠って、口は悪いし、意地悪だし、命令するし、嫌な奴だと思ってたけど、言う事は何も間違ってない。筋の通った事しか言わないし、甘やかすなんて事がない。私もただ間借りしてるだけなんだから、なるべく頼らないようにしなきゃ。
「さて、晩飯でも作るか。お前も手伝え。」
「うん!」