気が付くと、ソファーに寝かせられて、体には毛布が掛けてある。側には駅員らしい男性が数人、机に向かってペンを走らせている。
あー、体がだるい。頭が痛いや。寒気もする。風邪かなあ。
そんな事を思っていると、一人の若い男性が傍に来た。
「気が付いた?君、ホームで倒れたの覚えてる?ここは俺たち駅員がデスクワークや休憩をするところ。今からどこか行く予定だった?」
寝たまま黙って頷いた。
「そっか。でも顔色悪いし、帰ったほうがいい。お家の人に連絡するから電話番号教えて?」
「……。」
連絡したところで家になんか誰もいない。
「…一人で帰ります…。ご迷惑お掛けしました。」