聖良へ―
この手紙を読んでいるという事は、私はもうこの世にいないと思う。生きてる間にもう一度会いたかったが、それは叶いそうにないので、ここに聖良への気持ちを綴っておく。
お前がたった二週間でも私の元へ来た事は本当に嬉しかった。
初めて会った時の不安そうな顔は忘れられない。
お前の様子からして、辛い目にあっているのではないかと想像できた。
お母さんに話を聞こうとしたけど、すぐに帰ってしまって何も聞けなかった。
聖良がいてくれたお陰で、誠のいない寂しさが少しは紛れた。
三日もするとなついてくれて愛おしくて堪らなかった。
お母さんも僅か一年で離婚しなければならなくなって、辛かったと思う。
そんな時こそ私を頼って欲しかったけれど、元々人に頼る事が苦手だったからそれもしてこなかった。