「向こうへ戻ったら、中田圭一にお礼言わなきゃいけないね。」
「そうだな。まさか彼の親戚に世話になるとは思わなかった。」
「…どこに泊まるつもりだったの?」
「……。」
「?」
「…正直言って、ここまで田舎だとは思わなかった。
交通の便がこれ程悪いとことはな。車がなけりゃ移動の待ち時間で日が暮れちまう。
ビジネスホテルぐらいあるかと思ってた。」
「もう。行き当たりばったりなんだから…。」
「子供の頃の記憶なんて当てになんねえな。」
「誠君、聖良ちゃん。」
廊下から声がした。
「「はい。」」
「お風呂沸いたけ、どうぞ。」
「はい。ありがとうございます。…じゃあ聖良、先入ってこいよ。」
「ん。ありがと。」